大きな家のボロキッチン

別居だったはずなのに！ある日突然の「壁紙選んでね」という義母の言葉に呆然、あれよあれよという間に同居のための改装終了。卯年生まれの私も義母が雑事から解放された年齢になりました。うさぎが茨の道を脱出できる日はいつ？

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2015
06/12

働かない疑問

毎日のように「お金がない」「貧乏」だと愚痴っているので、なぜもっと努力をしないのかと思われる方がいても不思議ではありませんよね。

あまりにも具体的な事を詳しく書くとネットという環境が身元割れするのではないか、と心配する私の抽象的な表現が理解しづらかったんだと思います。

マザオは小さな障害を抱えています。これは労災認定された正真正銘の過労が原因です。
見た目には健常者と変わらず、無理をしなければ日常生活に支障はありませんが、時に痛みが出て難儀してたりもするんです。

とはいえ、大きな借金を抱えていますから契約が決まったら働きに出る予定でした。
思いがけず長引いて、予定外の苦しい生活になってしまいました。

主婦業を交代してマザオが引き受けた背景にはこんな理由の他に、店の後始末はマザオでなければ出来ないことがたくさんあった事と、義母とふたり家の中で過ごす時間を私が拒絶したからです。

店をやめたら折りをみて運転免許を返上すると言っていた義母。歳も歳ですのでそれは賛成でしたが、お出掛けの多い義母の送迎なんてまっぴらごめんです。

義母がさらに高齢になって介護が必要な日が来るかもしれない、そうしたら私は家に居てはいけないと逃げるように就活を始め、幸いにもタイミングよく今の会社に決まりました。

あとは契約が決まったらマザオもバイトへ出て、悠々自適な借金返済生活となるつもりでした。

そううまくはいかないものですね。

私が仕事へ出ている間、マザオは何をしてるのかというと店へ出掛けては道路沿いの植え込みの手入れ、投げ捨てられたゴミ拾い、隣地やアスファルトを割って芽を出した雑草の処理、建物内の窓を開け風を通して掃除をしてるようです。

築年数が経っているせいか、人の出入りがなくなった店は急速に老朽化しています。
今まで見に来た方達は「きれいにしている」「そんな古く見えない」と言ってくださいました。不動産屋さんもこれだけ手入れがされていると好印象だと。
いまだに借り手が決まらないんですけどね。

自宅の掃除、トイレや浴室も私がやっていた時より丁寧に磨いているんじゃないかなと思っています。

食事にいたっては完全に抜き去られた感じです。
ここ数日は悲惨な食卓ですが、マザオも私同様にがっくり感が半端無く気力が萎えてしまったんだと思います。
それでも、昨夜は見切り品の二十円のお豆腐で田楽を作ってくれました。おやつに私の大好きな五平餅も作ってありました。

自宅の甘夏でマーマレードを大量に作ってご近所にもお裾分けしたら好評で、もっと作って欲しいといろいろな食材をいただきました。そして家の分もちゃっかり分けてもらって食費削減です。今、我が家の食費はお米もオヤツもなにもかも含めて２万円です。新米主婦にしては頑張っていると思います。

家事に専念するよりもっと現金が入る仕事をした方がいいという意見も当然にあると思います。
実はちょっとしたＩＴ技術を持っているので、店をやっている頃からごくたまに依頼がありました。

この仕事は落ち着いたら定期的に出張の形をとって一定量を引き受ける話がついてます。
今は三日四日と家を空ける事が出来ないので在宅業務を少しだけ受けています。でも、在宅での報酬って時間のかかる割に僅かです、一ニ万にしかなりません。

そんな毎日の合間を縫っていろんなところから連絡が入ります。
そして、店を見たいとおっしゃる方があれば先方の都合に合わせてマザオも動きます。

借りたい、ではどうぞ、とはならない世界でした。
業者さんが改装の見積もりに来たり、測量が入ったり、もう一度見たいという方も少なくありません。

こちらも契約内容の打ち合わせでなんども不動産屋さんと打ち合わせです。

厄介なのは業務用の機材です。
解体処分するのか、付属設置物として家賃に上乗せするのか、中古品として買い取ってもらうのか、選択肢は多岐に渡ります。そして、それは先方の業務形態や予算とうちの持ち物を必要とするのかしないのかで違ってきます。

今回、契約寸前で破談になった話は、屋内の物をすべて撤去して空っぽにするということでした。
なので、中古品をして買い取ってもらうか、解体処分の方が費用がかからないのか、マザオの仕事はそこから始まりました。

まず業者さんの選定から大変で、どちらにしても数十万単位のお金が動く話です。
買取りの場合、運搬費用と日程も相談です。

ひとつリース機材があったのですが、今回の件でリース契約を解除して買取りました。買い取って中古品として売却するつもりでした。解体費用は目が飛び出るほど高額で、試算の結果、これが一番良かろうと思って．．．

今月末にはこの買取り費用を支払わなければなりません。
だけど、次の借り手がどうなるかで売る事も処分する事も出来ずにいます。運搬費用がネックになって、使ってくださる方なら差し上げた方がいいくらいなんです。

不定期に時間も定まらない五十男などどこも雇ってくれないと思います。
仮に仕事が見つかっても雇い主に迷惑を掛けそうです。昔、アルバイトに翻弄された側としては、そんな働き方は申し訳なくて出来ません。

短期の早朝バイト、深夜労働も探してみたこともありました。
田舎なんですね、コンビニの募集が数件のみ。でも五十過ぎのリタイヤおやじは渋っているのがわかったそうです。

毎日、電話を待って、待ち続けて、気づいたらニートのような生活になっていたかもしれません。